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弟子を育てる

コンピューターの黎明期にアスキーという会社を立ち上げていまは東京大学大学院でIoTに関する研究者として働いている西和彦さんというヒトを紹介する文章を読みました。西さんはビル・ゲイツやスティーブン・ジョブスと同じように大学を中退したので、文科省の諮問委員かなんかの履歴書に中退と書いたら、最終学歴は高卒であると訂正されたのでそれがなんとなく悔しくてアカデミアの世界に入ろうという動機になり、社長業のかたわら学位を取得したのだそうです。そのおりに西さんの先生の先生にあたる東北大の西澤潤一先生に「君の博士としての値打ちは、これから君が何人博士をつくることができるかにかかっているだよ」と言われたそうです。 私が研究室を主催していた頃は「インパクトファクターの高い雑誌に論文を書く」ことを目標にせず「教科書に載るような仕事をする」ことを目標に掲げて自慢げにホームページにも載せていたのですが、阪大の岸本忠三先生の講演を聞いていると「教科書に載るような仕事」で満足している研究者はダメ!」と言われてしまったのでショックを受けました。それでは何を目標に?と次の言葉を待つと岸本先生は「教科書に載せるだけではなくて弟子を育てることが大切である」と続けられたのです。なるほど!偉い先生は同じような考え方をしているのだなと得心しました。 最近 ミーム という概念を使って考えることがよくあるので、これらの言葉をミームを使って解釈すると、これらの言葉の意味は「研究者は新たなミームを作り出すだけではなく、それを繁殖させることが大切である。」となります。 偉い先生の思考回路が少し分かったような気がしました! 研究者のスケールの違いとでも言うのでしょうか、私はやっぱり「教科書に載る」ところまでを目標にするので満足かなと思います。